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青少年教育施設改革(アーカイブ)

これまで、遍く子どもたちの自然体験の場として、青少年教育施設がその役割を担ってきました。しかし、施設の老朽化や少子化による利用者数の低下などの課題も顕在化してきています。これらの課題を解決し、次世代に残していけるよう本プロジェクトを遂行します。

旅行会社との連携を考え見えてきたこと

2021.6.28

プロジェクトチームとしての開催ではありませんが、私も実行委員として関わってきた青少年教育施設研修会のことについて、このブログでご報告させていただきます。 

 

【青少年教育施設研修会について】 

2018年から、施設の指導者が持続可能な地域・社会づくりの実現を目指すために、共に学びあう場として、「活動・施設・組織」などをキーワードに、青少年教育施設職員向けの研修会を開催しきました。昨年度はオンラインでの開催となりました。しかし、その内容がとても有意義であり、中でも旅行会社の方からのお話は、これからの教育旅行に必要なポイントを的確に指摘されていました。 

そこで、2021年度の第1回目(2021年5月7日と6月7日に実施)は、再度旅行会社の方を講師にお招きして開催しました。教育旅行に関するお話をより掘り下げてお聞きし、青少年教育施設を利用いただくためのプランを提案し、フィードバックをいただくという内容を実施しました。 

 

【旅行会社の方のお話から見えてきたこと】 

研修会でお話しいただいた中からたくさんのヒントをいただきました。 

青少年教育施設だけに限らず、自然学校や自然体験活動の業界全般に言えることなのだと思います。 

総じて今までの青少年教育施設の運営が、いかに自分たちの守備範囲内だけで運営をしてきたか、利用者に対して決められた枠の中で対応してきたのかを痛感しました。 

頂いたご意見を踏まえて、これからの青少年教育施設の運営で、留意すべきポイントを3点にわけて整理してみました。 

 

①利用のルールの見直しや手続きの簡素化 

現行の手続き方法や予約方法が障壁で、利用の門戸を狭めてしまっている可能性はないでしょうか。修学旅行の予約は2~3年前から始まるそうです。各施設が修学旅行を受け入れるには、今の予約開始日では対応しきれないでしょう。 

また必要書類の提出方法についてもホームぺージからオンラインでできるような仕組みがあれば一般の方も予約しやすいかもしれません。WordやExcelなどのデータをメールやFAXで提出する方法も見直しが必要です。 

決済についても現金ではなくクレジットカード決済や電子決済などを積極的に取り入れていく必要があると思います。 

制度的な壁はたくさんありますが、管轄行政ともしっかりとコミュニケーションを取り、一つずつ改善していく必要があります。 

 

②地域のプラットフォームとしての施設 

地域の歴史、成り立ち、文化についてもう一度知見を深め、この施設に来なければできないこと、この地域特有のことをプログラム化することが来てもらえる理由作りにつながります。当然ながら施設の敷地内で完結せず、地域で活動するプレイヤーをつなげ、プログラムを面として作り上げることが大切です。 

職員は日常の生活も意識する必要があると思います。普段行かない場所や飲食店へ行ってみる、通勤路を意識的に変えてみる、地域コミュニティに積極的に顔を出してみるなど、職員一人一人がの活動範囲や交友関係を広げる地道な取り組みが必要かもしれません。 

また、プログラム作りとなると、自分たちでどうにかしなければならないと思いがちですが、主役はあくまで地域の方達と割り切ることも必要でしょう。地域の方々に活躍の場を仕立ててあげることが青少年教育施設の役割なのではないでしょうか。 

 

③教育現場や社会から求められていることに対応していく 

学習指導要領の中に「持続可能な社会の創り手の育成」の文言が盛り込まれたことで、SDGs(持続可能な開発目標)が学校教育の中でも推進されていくことが予想されます。 

旅行会社の商品にはすでにこれらを盛り込んだものが造成されていて、実際に実施されています。皆さんの施設・プログラムではどうでしょうか。

世界的に起きている課題や地域が抱える課題に気づき、どう子どもたちの行動変容につなげられるかがポイントとなっています。学習指導要領や現在学校で行われている授業内容を十分理解した上でプログラムを作っていくことが、より効果的で先生の負担軽減にもつながるのではないでしょうか。 

また、オンラインでの事前学習や事後学習も教育旅行の中にパッケージ化されてきています。子ども達にはタブレット端末が貸与されるようになりました。 

IT技術を使いこなし、現場でできることと学校でできることを切り分け、より効率的で効果的なプログラムを開発することが求められています。 

 

 

今回の研修会では結果的に、今私たちに足りていない部分が浮き彫りになった形となりました。しかし、私たちにしかできないこともあります。 

地域のネットワークを生かしプログラム化するコーディネート力、自然体験活動に関する指導力、これらは現場を持つ私たち青少年教育施設の職員の強みではないでしょうか。 

自分たちの強みと弱みをよく理解し、他業種の方々と連携することで、補完しあえるパートナーシップを築いていきたいですね。ぜひ皆様のお力もお貸しください。