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Ⅵ 青少年教育施設改革

これまで、遍く子どもたちの自然体験の場として、青少年教育施設がその役割を担ってきました。しかし、施設の老朽化や少子化による利用者数の低下などの課題も顕在化してきています。これらの課題を解決し、次世代に残していけるよう本プロジェクトを遂行します。

青少年教育関係施設基礎調査(令和2年度)

2022.6.15

先日、青少年教育施設基礎調査の結果が、独立行政法人青少年教育振興機構のホームぺージで公開されました。


調査の目的は以下となっています。

「全国の青少年教育施設の運営・分布状況等を把握し、現状や課題、新たな取組等を明らかにし、

それらの情報を基礎データとして青少年教育関係機関・団体、教育委員会等に提供・共有することで、今後の施設運営や青少年教育の発展のための一助とする。」


現在の青少年教育施設の現状が数値化され、どのような状況になっているのか、データで見ることができます。

定期的に行われている調査ですが、この中で、新設された調査項目があります。

「利用者及び青少年の参画」という項目です。

利用者及び子ども・若者の青少年教育施設における参画について問うた設問です。


英国若者協会(The National Youth Agency)が 2008 年に作成した「ヒア・バイライト(子どもの意見を聴く)の理念と手法」のなかで、
子ども・若者の声を聴き事業を進める利点をについて以下のように述べられているそうです。

・ 大人が推測したニーズではなく、実際の子ども・若者のニーズにあわせて事業の計画、実施、評価をすることができるので事業の質が上がり、より必要な人に届くようになる。
・ 子ども・若者が自信と自尊心を強め、持っている能力を磨き、新しいスキルを身につけることができる。
・ その組織、地域について子ども・若者の理解が深まり、関係性が強化され、民主主義が活発に育つ。


青少年教育施設の一番の利用者である、子ども・若者の声がどれだけ反映されているかが、

これからの青少年教育施設の運営にとって重要だということがと読み取れます。


調査の結果は以下となっています。


・利用者アンケート
調査の結果、施設の運営に関するアンケートを実施している施設は全体では約6割(62.0%)と大勢を占めていましたが、
アンケートの実施対象は、「施設を利用した本人」「利用団体の代表者」に留まり、活動に携わったボランティアを対象にした施設は約 15%に過ぎなかったのです。  

・意見箱・アイディアボード
アイディアボードとは、利用者の声を聞くために設置された掲示版のようなもので、「意見箱」も含めて調査されています。
意見箱やアイディアボードの設置の有無についてみると、全体では設置している施設は3割を切っている(26.2%)という結果が出ています。

・運営協議会
運営協議会とは施設の方針や活動などを外部からの意見も取り入れ、決定する合議体です。
運営協議会の主な構成員の年齢をみると、「50 代」が半数以上(55.5%)と最も高く、
次いで「60 代」が約3割(27.2%)であり、「30 代」以下は2.8%に留まっているとなっています。


まだまだ青少年教育施設の運営に、子ども・若者が参画しているとは自信を持って言える結果ではないことが読み取れます。
下記、本調査の考察として示されていますので一部ご紹介いたします。

子ども・若者の参画の実態を踏まえて指摘できる課題は、青少年教育施設の担い手と参画の形態の多様化の必要性である。
言い換えるならば、あらゆる人に開かれた公共の場を、一部の人が担う状況から、もう一度「あらゆる人の手に」戻すことである。
そうすることで関わる人が育ち、青少年教育施設への理解が深まり、子ども・若者のニーズに基づいて活動が効果的に実施でき、
それが子どもの参画の権利の保障につながるのである。


私が運営する施設ではも、利用する代表者へのアンケートを取っていますが、子どもたちへのアンケートということは実施できていませんでした。
子どもたちが施設の運営に参画するという形もとても新鮮で、もっと子ども目線に立った施設運営を心掛ける必要があるのだと感じました。
そういったチャレンジをされている施設や団体をご存じでしたら是非、お話をお聞かせください。

引用文献:独立行政法人 国立青少年教育振興機構(2022) 青少年教育関係施設基礎調査(令和2年度調査)